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中国、社会保険制度に赤信号 7兆円の赤字か

2015年11月24日

【新唐人2015年11月25日ニュース】

中国の養老保険に大きな赤字が出ていて民衆の憂慮が高まっています。中国メデイァは、去年、中国の養老保険に300億元(日本円で約5700億円)を超える赤字が出たと伝えました。一方、『ロイター通信』の報道では、中国財務省の決算報告から見ると、去年中国の社会保険基金の赤字は約3600億元(約7兆円)に達すると分析しています。

 

最近、中国財務省は「2014年全国社会保険基金決算説明」を公表しました。

 

中国紙『21世紀経済報道』は、当局が公表したデータから、2014年の基本養老保険料の納入額と支給額から、319億元(約613億円)の赤字が出たと伝えました。

 

さらに、イギリス『ロイター通信』は、当局の公表データを分析した結果、去年の養老保険、医療保険など7種の社会保険基金の納入額は約3兆38億元(約57兆8900億円)で、支給額が3兆3680億元(約64兆9100億円)で、約3600億元(約7兆円)の赤字が出ていると明らかにしました。

 

現在、中国各メディアで養老保険の赤字が広範囲に報道されており、当局が養老保険の受給者年齢を引き上げる噂も出ています。

 

中国紙『チャイナ・ビジネス・ニュース(CHINA BUSINESS NEWS)』によると、全国22省で養老保険の赤字が出ているそうです。

 

一方、中国機関紙『新華網(しんかもう)』は、メディアが養老保険の問題を取り上げるのは、民衆に不安を与えるほかないと非難し、「養老保険の欠損は、計画経済時代から引き受けたもので、必然として現れる歴史的な負い目」だと報道しました。

 

これに対し、ドイツ在住の政治学者仲维光(ちゅう いこう)さんは、「歴史的な負い目」も同様に中国共産党が作ったものだと指摘します。

 

ドイツ在住の政治学者 仲维光さん

「この報道は中国当局がわざと放したものです。中国共産党の独裁政権が存在する限り、民衆の生活と未来には保障が得られません。中国民衆はこの点を忘れてはいけません」

 

『チャイナ・ビジネス・ニュース』は報道で、一部の省では、失業保険基金と労災保険基金などの繰越金を退職した人の 養老保険の支給にあてると指摘しました。

 

深セン市社会観察研究所 劉開明氏

「中国で多くの地方の失業保険基金の繰越金は、確かに非常に大きいです。原因は失業保険を納入するのは、外来から来た労働者がほとんどで、彼らは失業した時に失業の保障を得られないからです」

 

また『チャイナ・ビジネス・ニュース』は報道で、現在会社員が給与の4分の1を養老保険に支払っていますが、ほとんどは退職した人への支給にあてられ、政府が現在保険を支払う人への老後の保障は「空手形」となっていると指摘しています。

 

養老保険金の不足への緩和に向け、中国社会科学院の「国家資貸借対照表」の研究チームは、退職年齢と受給者年齢を引き上げるよう呼びかけています。

 

民主活動家 胡軍さん

「中国共産党は中国の経済が大きく発展し、世界ナンバー・ツーになったと言いながら、世界中にお金を散らしていますが、なぜ養老保険にこんなに大きい問題が起きるのでしょうか。なぜ養老保険の支給にこんなに大きな支障が出ているのでしょうか。中国共産党は自ら自分がついた嘘を暴いているのです」

 

中国経済学者の張維迎(ちょう いげい)さんは文章で、中国の保険制度を「羊が子羊を狼に預ける」と例えていて、制度に対する不信感を訴えました。

 

一方、中国人民大学の政治学部の張鳴(ちょう めい)教授は、国民から徴収した保険料は、保険料を支払わない高官らの高額な老後の生活費にあてられていると指摘しています。

 

 

新唐人テレビがお伝えしました。

 

http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2015/11/21/a1237054.html(中国語)

(翻訳/吉田 ナレーター/大口 映像編集/李)

 

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